『授業の未来 英国ストーリー7』

『授業の未来 英国ストーリー7』

前号で、英国の小学校では、
differentiation(ディファレンシエーション)といって、
授業は、子どもの能力によって区別して指導するというお話をしました。


授業の始めの10分は共通、それ以降は、グループに分かれて授業を進めるスタイルです。

日本の学校でも、能力別に少人数に分けて授業を進める形態は行われています。

ただし、英国と大きく違うのは、日本の能力別少人数学習は、基礎コースや発展コースなどに予め子どもたちを分け、コース別に教室も分かれて、それぞれに先生が付いて授業を行います。

ところが英国の場合は、1時間の授業の中で、一斉指導から能力別のグループ指導に分かれるので、先生の負担は大きいと思います。

 

ヤマさんが言うには、
ずっと一斉授業を行っていることは許されず、必ずディファレンシエーションを行うそうです。

毎週授業プランを作成して教務主任に提出する義務があり、校長や学年主任が授業を確認するそうです。


また、英国には、オフステッドという学校を評価する外部監査機関があります。

オフステッドは政府から独立した機関で、2年に1度程度、学校を訪問して授業を見るなどして学校を審査、評価します。

審査結果はインターネット等で公表もされ、学校や教員は、クリアーしないとならない厳しいシステムです。


当然ディファレンシエーションの実施状況も審査されるため、日ごろの授業づくりが問われます。

日本にも教育委員会の学校訪問はありますが、ここまで厳格としたものではありません。

 

ちなみに、私も日本人学校派遣期間中に、オフステッドの訪問があり、指導を受けた経験があります。

かなり細かく見られ、特に危険につながる事柄は、すぐに改善するように指導が入り、対策を求められました。


一番驚いたことは、昼休み中の教員の監督です。

日本人学校は日本の学校同様、昼休みは、教員は子どもたちを監督・観察してはいません。

グランドでは、子どもたちが自由に遊んでいます。

ところが、英国では、子どもが学校にいる間は、すべて教員が責任を持つという考えがあります。

このため、昼休み中に子どもだけで遊んでいる状況はつくらず、教員がグランドに付いたり、校舎内を見回ったりする必要があると指導されました。


当然改善しなければ、学校は休校させられてしまいます。

とても厳しい監査が入るのだという印象を、当時持ちました。

 

さて、今日は英国から話が脱線しますが、ヤマさんとインターナショナルスクールについて話していると、「国際バカロレア」(IB)の話題になりました。


バカロレアが示す基準をクリアーしていれば認定されるもので、国際バカロレアの認定を受けている学校は、平成29年時点で、世界140以上の国や地域において5000校近くあります。

日本にも20校近く認定校があります。

 

授業の質をヤマさんに尋ねると、「知識を伝えればよい」授業ではもちろんなく、課題追究の仕方が興味深いと言います。


例えば、「ある植物を2週間育てたが育たなかった。どのように原因を調べたらよいか。」という課題が出されます。

事実から仮説を立て、課題追究していく方法を探っていきます。

仲間といかに協働して追究していくか考えることも重要な視点だと言います。

また、意見が違う人の考えをどう受け入れ、合意形成を図っていくか。

課題の答えよりも、追究の仕方が問われ、鍛えられる授業です。


日本もいま、アクティブラーニングを推し進めています。

以前にも記事に取り上げましたが、グローバルな世界の中で協働できる人材を育てていくことが求められているので、子どもに付ける力も以前とは当然違ってきます。

子どもにどんな力をつけるべきか、しっかりと先を見据えて考え、授業も変えていかなければなりません。

国際バカロレアの基準を満たす教育が、今後一部の裕福な家庭の子どもにばかり配給されるのではなく、広く教育の世界に広がっていくことを期待します。

 

 

今日の話が、あなたの気付きになれば幸いです。


「未来を創る子どもの先生」が育つ環境を創っていくために。

志と情熱のある方々と、ご縁で繋がっていけたら幸いです。

 

 

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